-思想と科学-


■ 神という存在 ■

ユダヤ教、キリスト教とイスラムはともにヤーウェ(アッラーと同じ神)やイエスと精霊を信じているので歴史的にも兄弟宗教ともいうべきものです。これらの宗教は神が始めにあって世界を創造したとする「神前法後」の立場をとっています。

砂漠の民が信仰するこれらの神は私たちと同じように喜怒哀楽があり、古代ギリシャの神と同様に人格神です。喜怒哀楽から超然としている仏とは大いに異なります。

宇宙の根本原理をわかりやすく説明するために、ヤーウェやアッラーが作り出された擬人的比喩に過ぎない創造主であると理解すれば、それらが人格神であることを理解できます。

ユダヤ教、キリスト教、イスラムも仏教と同じ「法前神(仏)後」であることが理解できます。ところで、仏教では自然や事象は意識によって認識されるのみとして実在論を否定します。こうした思想を「唯識」といいますが「思想と科学」では帰納法、演繹法に唯識論を加え、思索や感性、瞑想や神秘体験を通じて宇宙の根源的な原理を追求します。

「自然法則や宇宙の法則の背後に、より深い真理はあるのだろうか」。多くの科学者にとってこの質問はあまり関わりのないことかもしれませんが、人生をより意義あるものにするために、この質問を思索するのは重要なことです。狂信的な唯物論者でない限り、科学者でも「非人格的な存在が背景にあって世界が創造された」と「神のような」形而上学的存在を信じる人がほとんどです。

「思想と科学」の唱導する「サンスカラー」という言葉はサンスクリット語で「唯識」を意味します。物理や数学を学んだ方はスカラーを「特定の方向を持たない量」であると知っています。サンスカラーはスカラーと「太陽」を合わせた言葉にも聞こえるかもしれません。太陽は全ての方向に光を与えるという意味と理解できます。

「思想と科学」の設立者であるレーマ・シュタイナーは仏教の唯識だけではなく、「真理を照らす太陽は全ての方向に光をあたえる」という意味も表現してサンスカラーを命名しました。唯識は幾時代を通じて様々な賢人によって継承されてきた仏教哲学の真髄であることから、「思想と科学」では宇宙や自然界の真理、すなわち「サンスカラーの法理」に到達するには、科学や宗教だけではなく哲学、芸術など全ての分野で思索と感性を協調させた学問的な探求が必要であると考えています。

「思想と科学」は特に3つの根源的な命題(真偽を問いうる意味のある文)を認めます。

第一の命題は「真宇宙には永遠で不変の法則が存在し、物質やエネルギーが生じる前から形而上学的な原理が存在する」ことです。すなわち、従来の宇宙を超越した真宇宙に絶対的な法則と原理の存在「サンスカラーの法理」を認識することから思索が始まります。

第二の命題は、宇宙や自然界には周期性と二極性から成り立っていることの認識です。この周期性の法則には例えば生と死、創造と破壊、睡眠と覚醒など、二極性には性別、物質と反物質、陽極と陰極などで例証されます。そしてこの自然界の周期性と二極性は、宇宙の基本的構成であるとみなします。

第三の命題は「生命の根源である精気は真宇宙にある形而上学的存在に由来する」ことの認識です。

ここでいう形而上学的存在はユダヤ教では「ヤーウェ」、キリスト教では「神とキリストと精霊」、イスラムでは「アッラー(ヤーウェと同義)」と重ねることが出来ます。仏教では宇宙や自然界にある真理を「法あるいは法理(ダルマ)」と扱っており、擬人化されていませんが、他の宗教と同様、形而上学的存在と考えることが出来ます。

なお、儒教は「政治体制が良くなれば民衆が救われるので、優れた施政者が必要である」というもので、形而上学的な存在は問題としていません。しかし、道教は個人救済の思想が強く、仏教のダルマに相当するものを自然の中に求めており、自然の中に存在する霊的なものを形而上学的存在と考えることが出来ます。

科学はこれまで原子など素粒子の性質を理解し、宇宙や自然界を説明することについて成果をあげています。また、遺伝子解析の成功によって生物学は生命の神秘に近づいています。私たちは、人類だけでなくすべての生命について、また生命の母なる大地である地球について、そしてこれらの概念を越えて広大な宇宙について本質的な原理を求めています。

宇宙や自然界を説明することについてはかなりの成果をあげています。例えば、宇宙望遠鏡は多くの銀河宇宙をいくつも発見し、そうした銀河の研究からそれぞれの銀河宇宙は、何千億もの星からできており、宇宙は約140億年かけて発展してきたことがわかってきました。しかし、未だに生命はどのように誕生し、なぜ存在するのか、膨張する宇宙の行く末はどうなるのか、など根源的なことは何一つわかっておりません。

「思想と科学」はレーマ・シュタイナーの唱導により、人類のこれまでの科学的成果を基にして、宇宙の根源的な疑問にたいして仮説を立て、それらを様々な事象に照らし合わせて説明できるかどうか検証することで宇宙の真理に肉薄しようと考えています。また、科学的な推論と思索や感性、瞑想や神秘体験などによって、生物や人類の行動様式の検証に注力し、この地球で現在および未来の人々や生物がいかにしたらより良い生き方が出来るかを考え続けます。




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