現在、太陽や惑星の動きはニュートン力学によってわかっている。惑星の運動は太陽や月、他の惑星などの影響を計算しての正確に予測できる。こうした天体の運動は天体の質量、軌道傾斜角、近日点引数、昇交点経度、軌道長半径、離心率、近日点通過時刻、交点周期などの8つの軌道要素がわかれば計算できる。
月はいつも同じ方を地球に向けているので、裏面は見ることができない。これは月の公転と自転周期が一致しているからである。
月は公転と自転が「1:1」になっている。水星も公転と自転は「2:3」の整数比をもつ周期になっている。こうした簡単な整数の関係になっていることを尽数関係という。
また、公転周期では木星:土星=2:5、天王星:海王星:冥王星=1:2:3の尽数関係で、木星の衛星でも、イオ:エウロウパ:ガニメテ=1:2:4で尽数関係である。
なぜこのような尽数関係が得られるのか、その謎は現在でも不明であるが、考えられる理由として、長い時間の運動が動体のブレをなくす方向に作用している可能性がある。こうした作用を共鳴と呼ぶ。共鳴は電子の運動や音を出す弦、物質の振動でも見られる。
1766年、惑星の軌道半径を調べていたチチウスはある規則性に気がついた。太陽の周囲を楕円軌道で回っているが、円軌道に近似して公転半径を調べた。地球の公転半径を10とすると、水星から木星までは「4:7:10:16:(28):52」となる。(28)は小惑星ケレスの値である。これらの数列から4を引くと「0:3:6:12:(24):48」となる。これは水星の0は別にして、前の値の2倍が次の値になっている。しかし、土星の半径はこの規則からは100となるはずであるが実際は92である。また、火星は規則性を発見しやすいように16としたが実際は15である。なお、小惑星ケレスはまだ見つかっていない。
この法則は4 + 3×2n (nは金星=0、地球=1、火星=2・・・)と表され、ホーデの法則と呼ばれる。
この法則は経験則であったが、1781年にハーツェルが天王星を発見すると、ほとんど同じ値であった。ホーデの法則の欠陥であった火星と木星の間を埋めるべく1801年に小惑星ケレスが発見されると法則の信頼性が一気に高まった。
ホーデの法則と( )で表した実測値は次のとおり。
水星4(4)、金星7(7)、地球10(10)、火星16(15)、ケレス28(28)、木星52(52)、土星100(92)、天王星196(191)、海王星388(301)、冥王星772(395)。
海王星や冥王星以外は非常に近い値である。
天王星が発見されると未知の惑星にたいしてホーデの法則でおよその見積もりが取られ、ニュートン力学を用いた軌道計算によって予測され、その通りに海王星が発見された。人々は科学の勝利を確信した。
同じような規則性は他にも見られる。いま、水星から火星までのそれぞれの公転距離と同じ関係を30倍すると、木星から冥王星まで距離になるというものだ。なお、木星を計算する都合上惑星Xを入れている。なお、( )は実測値。
(惑星X) 17×1=17、水星17×2=34(40)、金星17×4=68(70)、地球17×6=102(100)、火星17×8=136(150)、木星17×1×30=51(52)、土星17×2×30=102(95)、天王星17×4×30=204(191)、海王星17×6×30=306(301)、冥王星17×8×30=408(395)
土星の衛星にも、ボーデの法則に似た3+2nの関係がある。ここで、nはミマス=-∞、エンケラドス=0、テチス=1、ディオーネ=2、レア=3・・・と続くがその誤差はやや大きい。
現在ではホーデの法則は単なる偶然として扱われている。このような規則性は科学的には意味がないのかもしれないが、偶然としてだけで扱えない何かを感じる。将来、ホーデの法則が科学的に証明される可能性が全くないとも言えない。例えば、ホーデの法則と実際の誤差も実は暗黒物質が惑星の質量に
影響を及ぼしたことによる揺らぎで説明可能かもしれない。あるいは、公転軌道の観測地を地球以外の場所に求めると、もっと一致した値が得られる可能性はある。また、現在はやや誤差があるが、公転軌道が過去や将来に異なった値をとっているかもしれない。
現在でもホーデの法則のように証明できないために単なる偶然として扱われているもの法則は数多くある。
ピタゴラスは、魂や感情まで、全ての事象は数字で表すことができ、数字には意味があるとし、「万物の根源は数である」と考えた。その考えは数秘術の思想となってプラトンに引き継がれ、数学の発展と共に成熟していく。数秘術はルネッサンス期には隆盛を極め、占星術やジプシーのタロットにも利用されるようになった。ホーデの法則を発見したチチウスもピタゴラスの数秘術の影響を大きく受けていた。
ピタゴラス数や音楽を用いて星や惑星の動きから「宇宙の真理」を解明しようとしたが、そのピタゴラスの思いは今も受け継がれているのである。
アテナイの学堂
ルネサンス期イタリアの画家ラファエロ・サンティのもっとも有名な絵画の一つである。描かれたのは、ローマ教皇ユリウス2世に仕えた1509年と1510年の間である。バチカン教皇庁の中の、現在ラファエロの間と呼ばれる4つの部屋の壁をフレスコ画で飾ることになって、ラファエロはまず署名の間と呼ばれる部屋から着手することにした。
そして、最初に『聖体の論議』を仕上げてから、2番目に手がけたのがこの『アテナイの学堂』である。その絵は、長きにわたってラファエロの最高傑作とみられてきた。
【登場人物】
ゼノン、エピクロス、 アウェロエスとピュタゴラス、アレクサンドロス大王、フランチェスコ・マリーア1世・デッラ・ローヴェレもしくはラファエロの恋人、パルメニデス、アイスキネスとソクラテス、ヘラクレイトスに扮したミケランジェロ、プラトンに扮したレオナルド・ダ・ヴィンチ、アリストテレス、ディオゲネス、エウクレイデスもしくはアルキメデスに扮したブラマンテ、ストラボンもしくはゾロアスター、プトレマイオス、アペレスに扮したラファエロ、プロトゲネスに扮したソドマ、等々。
サンスカラーの法理 |
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