美術評論家による解説

『SAMSA~RA 迦羅羅の波羅蜜』

美術評論家による解説一覧

samsa-ra-sunscalar

【解説】
中空に浮かぶ地蔵菩薩の見守る先は、生まれたばかりの迦羅羅である。二の腕の後ろに顔がわずかに見える。右隅に描かれているのは、母を象徴する乳房であろう。
子虫がその上を這いまわる。
有機的な物体の重なりに巻きつけられた横縄は迦羅羅が背負っている宿命を暗示するようだ。静寂な画面の中から何かが始まる予感がする。

美術評論家 平野龍典

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samsa-ra-sunscalar

【解説】
「邪淫に耽る親子」を襲う迦羅羅は、まだ幼さが残っている。その体にまとわりつくのは、迦羅羅を呪縛して放さない因業の紐か。恐怖におののく男親、すでに気を失った女親、そしてその向こうに見えるのは、子供達の相姦図であろうか。「俗界」に迷う四人の姿を通して、物質文明のもたらす快楽に麻痺した現代人、に対する作者の不安の念が感じとれよう。一瞬の緊張感が伝わってくる作品である。

美術評論家 平野龍典

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samsa-ra-sunscalar

【解説】
手前から迦羅羅、聖妃、そして悪霊と配置されている。祭壇の置かれた岩山は、脳か内臓を思わせる。遠方には阿闍の街並みが精緻に描かれて、情感あふれる世界を創り上げている。凶暴な悪霊の姿の中に、どことなく悲しみの陰影が感じとれる。

美術評論家 平野龍典

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【解説】
逃げまどう衆生を通じて、われわれの内包する恐怖と絶望が表出しているようだ。迦羅羅の男根は、生命を断ち切ろうとした民衆に対する怒りの念と同時に、生への執念を表現している。憎悪に燃える鬼神、迦羅羅の姿に、血の涙の叫びが聞こえてくる。

美術評論家 平野龍典

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【解説】
迦羅羅にたいする聖妃の憎しみと、聖妃に対する迦羅羅の愛とがぶつかり合って、情念の炎を吹き上げているような作品である。燃えるような肉色の世界で繰り広げられる密議は鮮烈である。

美術評論家 平野龍典

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samsa-ra-sunscalar

【解説】
聖妃が自分の膿を迦羅羅に吸わせている。だが切ないほどの献身に対しても、聖妃の心が開かない。迦羅羅の悲しみが伝わってくる。何かの遺骸であろうか、周囲にある有機的な構成物が、超現実的な空間を創り上げている。画面のむこうから「般若心経」が聞こえる気がする。迦羅羅の変化にも注意したい。

美術評論家 平野龍典

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【解説】
迦羅羅が宿命を自覚した瞬間である。醜悪とはいえ、一応は人間の姿をしていた迦羅羅も、今では父親と同じ地獄虫に変貌してしまった。頭をかかえて絶叫する迦羅羅を、手前の泉は静かに映し出している。静寂な宇宙の中で、迦羅羅の叫びが、見る者の心を締めつける。

美術評論家 平野龍典

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【解説】
わが子を抱いて仏に祈る姿は、正妃がかつて夢に見た菩薩の姿である。死の終淵でようやく悟りを開いた迦羅羅の顔に、仏の光が差し込んでいる。写実的表現を通して迦羅羅の存在が強く印象に残る作品である。

美術評論家 平野龍典

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samsa-ra-sunscalar

【解説】
全篇の集大成というべき作品である。左画面上方から反時計回りに生から死への暗喩が見られる。右奥中央の岩は古代人の墓であり、空には月が描かれていて、幻想的な画面構成となっている。果てしない道を歩む子どもの姿を見た時、過去、現在、未来にこだわる作者の思いがわかるような気がした。

美術評論家 平野龍典

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『SAMSA~RA 迦羅羅の波羅蜜』
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