天上の音楽4
ピタゴラスは音楽研究の第一として、楽器の弦の長さを調整することで音階を作った。その方法は次のとおりである。
音階を分けるには「3:2」の比を用いた。まず、長い弦の音を定める。例えば現在の「ド」の音を基本音と定める。その弦の3分の2の長さの音を新たな基本音とする。その音は「ソ」の音になる。
さらにその3分の2の長さの音を新たな基本音とすると、「レ」の音になる。ただし、その「レ」は弦が短いため1オクターブ高い「レ」の音である。
弦が短くて扱いにくいので、1オクターブは弦の長さの比が「1:2」であることから弦の長さを2倍に伸ばして1オクターブ下げた同じ「レ」の音を作る。
そして、その新たな弦の3分の2の長さの音を別な基本音とすると、「ラ」の音になる。
さらにその3分の2の長さの音を新たな基本音とすると、「ミ」の音になる。ただし、弦が短いため1オクターブ高い「ミ」になるので弦を2倍の長さにした「ミ」を用いる。
このような作業によって1オクターブが「ド、レ、ミ、ソ、ラ」の基本音からなる音階に分けられる。
当時知られていた惑星が水星、金星、火星、木星、土星の5つであるから意味を持つ音階も5つと定められ、五芒星に組み込まれた。
一筆書きして得られる五芒星の始めの点を「ド」とすると次の点は「ソ」、次の点は「レ」、と繰り返され、「ド、ソ、レ、ラ、ミ」が配置される。
これらの音を完全5度といい、完全5度の組み合わせで半音を含む音階を作っている。
その後は「3:4」、「4:5」、「5:6」の比を加えて純粋な音階を構成した。実際は純正音階だけでは1オクターブをピアノなどの12の鍵盤に収めることが出来ずに音階のずれを生じる。しかし、当時はまだ鍵盤楽器が発明されていなかったので問題とはされなかった。
サンスカラーの法理